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<耳の病気について>

 Q子供が何度も中耳炎をおこすのは何故?

子どもが何度も中耳炎をおこすのはなぜ?

  A 中耳炎を繰り返すのは、かかる側、中耳炎をおこす菌の問題、環境のそれぞれに原因があると言えます。


(かかる側の原因)

かかる側の原

 急性中耳炎は鼻の奥に入り込んだ細菌やウイルスが耳管を通じて中耳に炎症をおこすことを言います。通常は、鼻・口から浸入した細菌やウイルスに対して、体の中にある抗体が働き、感染を起こさないように防いでいます。しかし、一般的に子どもは大人に比べて抗体をつくる能力が低く、感染をおこしやすいため中耳炎にもかかりやすくなります。特に3歳以下の乳幼児は4歳以上の幼児に比べてもかかりやすいと言われています。また子どもの場合は大人と比較して耳管の長さが短く、その傾きも水平に近いので感染をおこしやすいのです。

 耳管は中耳という耳の中の空洞の換気をはかり、聞こえを保ち、中耳に入り込んだ細菌やウイルスを排除する役割を持っています。患者さんの中には、この耳管の働きが悪く、何度も中耳炎にかかる方もいます。

起炎

(起炎菌の問題)
 最近では、抗生剤の効きにくい耐性菌が原因となり、治りにくい中耳炎が増えています。何年か前までは効果のあった抗生剤が今中耳炎に対して処方してもなかなか効果が現れません。これらの耐性菌が潜在的に集団の場(保育園や幼稚園など)で広まりつつあると専門家も指摘しています。

 普段は悪さはしないものの、風邪をひいていったん中耳炎にかかると、お薬が効かずなかなか治らないということになります。中耳炎だけでなく、夏に多いとびひにもこの耐性菌が見られたという報告もあります。それだけ身近に耐性菌がはびこっていることになります。

環境

(環境)

 集団保育が低年齢化していることも一つの要因と言われています。家庭で保育している場合でも、通園している兄弟からの感染も考えられています。また特に小さなお子さんは自分からすすんで薬を飲むことはまずありません。

 きちんと一日の回数を守り処方された分を飲ませるという保護者の頑張りがなければ、炎症をくい止めることが出来ず、何度も中耳炎にかかることになるのです。また中途半端な飲ませ方では逆に耐性菌をつくってしまうとも言われています。決められた用量、用法を守ることも重要です。

急性中耳炎と滲出性中耳炎の違いは?

 Q急性中耳炎と滲出性中耳炎の違いは?


  A  急性中耳炎はかぜなどの後に中耳の粘膜に炎症が起こるもので、特に5歳以下の乳幼児に多く、耳の痛みや発熱を伴うことがあります。かぜのばい菌(細菌やウイルス)が耳管を通じて中耳に炎症を起こします。

滲出性中耳炎は急性中耳炎が治りきらなかったり、何度もくり返して起こるものです。これもまた子どもに多く見られますが、急性に比べて痛みがなく、「耳がつまった感じ」の軽度の難聴が主な症状のため気づきにくいと言われています。

 かぜだけでなく、副鼻腔炎やアデノイドが原因となって繰り返すこともあります。現在ではかぜをひくとすぐに抗生剤の投与が行われるため、急性中耳炎の悪化は少なくなりつつありますが、逆に見た目に気づきにくい滲出性中耳炎が多くなっています。これは痛みが治まったことで完治したと自己判断し、治療を途中で中断してしまうことが原因と考えられます。特に子どもは自分で難聴を訴えることはあまりないので、知らない間に滲出性中耳炎が進行している場合も少なくありません。きちんと完治するまで医師の指示どおり通院することが大切です。2つの中耳炎の治療には、状態に応じて内服や鼓膜切開などの外科的治療が選択されます。

鼓膜切開を繰り返すと何か影響はないの、くせになるって本当?
  Q鼓膜切開をくり返すと何か影響は?くせになるって本当?

 A 炎症が強いまたは長引いている重症例には内服だけでなく、鼓膜切開を行うことは有効です。よく鼓膜切開を行うと癖になると言われる方がいますが、処置が癖になることはありません。むしろ中耳炎が繰り返しやすいことを知るべきです。

切開で開けた穴は1週間ほどで閉じるので、くり返し行っても影響はほとんどないと言われています。しかし、切開を行った後に治療を中断したり、耳だれがあるのに放置していると慢性の中耳炎に移行する場合も稀にあります。前でお話したように、完治するまで治療を続けることで問題はありません。

鼓膜切開とチューブはどう違うの?

 Q鼓膜切開とチューブはどう違うの?

 鼓膜切開を行っても、その後急性中耳炎を繰り返したり、滲出性中耳炎が治り難いときにチューブの挿入を検討します。鼓膜切開では鼓膜を少し切開し、中耳にたまった膿や浸出液を排膿します。しかし切開した穴はすぐに塞がってしまうため、十分に排膿しきれないと再び中耳にたまってしまいます。

 そこである程度切開や内服で治療を行っても改善しない例に対して鼓膜チューブを留置します。方法は鼓膜切開と同じですが、切開した鼓膜の穴にチューブを入れます。切開の場合だと1週間弱で鼓膜の穴は塞がりますが、チューブを留置した場合には3〜6ヶ月、あるいは1〜2年入れておき、浸出液が自然に排出されるよう、中耳の換気をはかります。つまりわざと鼓膜の穴が塞がらないように一定期間換気孔をつくるものです。ちなみに当院では0歳から局所麻酔でチューブ留置を行っています。これはまだ耳管の機能が未熟な期間、抗生剤に頼らず中耳炎の改善をはかることを目的としているからです。

換気チューブを入れると何か後遺症は残る?

 Q換気チューブを入れると何か後遺症は残る?


  チューブはほとんどの場合、鼓膜が閉じながら自然に外れてくるのを待ちます。しかし稀に外からの細菌感染を起こしたり、チューブが外れた穴が塞がらないことがあります。しかし定期的に診察を受けていれば、早いうちに適切に処置し正常へ戻すことができます。それ以外にも耳掃除の際に、綿棒を奥に入れすぎるとチューブを押し込んでしまうことがあるので、むやみにいじらないことが大切です。またチューブが早めに外れてしまったり耳垢や耳だれで詰まってしまうこともあります。

 どの治療にも注意しなければならないことがありますが、チューブに関しては留置している間は定期的にかかりつけの耳鼻科でチューブの状態を把握しておくことが大切だと言えます。そのことで十分に後遺症が残らないよう対処できます。

*チューブが入っている間、プールや海水浴に行く際には、外からの感染を防ぐために耳栓を使用してください。